木を切り 釘を打つ
思い描いた その通りの 「もの」ができあがる
木の においが 心に染みわたる
土を掘り 石を動かす
草花を移し 木を整える
心を込めて 水を与える
土のにおいがする
そうして それから
作業の できばえを 一つひとつ
確かめるように ながめ
杯を傾ける
至福の時である
やりたいことを やりたいだけ やれなくなるまで
没頭した 少年時代を
ふと 思い出す
その頃は
木や 土のにおいには
今ほどの 関心はなかった
だが 単純で まっすぐな 気持ちは
変わっていないように思う
その 愚かさを
木や 石や 土の そうして 水のにおいが
消してくれるようだ
人としての 足りなさも
自然は 寛大に受け止めてくれる
雨の前の 空気のにおい
雨の後の 土のにおい
木の葉を揺らす 風のにおい
少年の頃から
何も変わっていない
そんなことに 最近気づいた
取り巻く世界は
何も変わっていないのだと
背伸びをしないで
少年の想いを 包み隠さず
表していこうと
古くて 新しい 挑戦である
自然体ということか
いつまでも 人として 足りない
そんな 不甲斐なさを感じつつ
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